社会人のわたしがロサンゼルス留学を決めたわけ【学校編】

パメラとのルームシェアは順調かのように見えた。

レストランで働く彼女と会うのは夜くらいで、つかず離れずちょうどいい距離感を保ってくれる感じがわたしには心地よく、よほどの理由がない限り引っ越すことはないと思っていた。

…だけど徐々に彼女の異変に気づきはじめることに。

何かがおかしい。

わたしの危険レーダーがピピっと反応する。

精神的に病んでいたりおかしい人を嗅ぎ分ける力は、セクシーモデルのマネージャー時代に培った。

もちろんモデルみんながそういった人達ばかりではないけど、家庭環境が劣悪だったり、闇を抱えているモデルが多く、メンヘラさんが集まりやすかったのは確か。

あとこれまで何万回とセクシーモデル志願者の面接をしたから、ちょっとした仕草や言動で危険人物かどうか察知できるようになったのもある。

これは一種のスキルといっていいのだろうか…?

そうだとしても使いどころはないけど。

話を戻してパメラだ。

そう、しばらくの間はいつもニコニコ明るく振舞っていたパメラけど、次第に彼女の顔から笑顔は消え去り、いつも眉間にシワを寄せ険しい顔を見る日の方が多くなった。

そして家にいるときは自室に引きこもり出てこないから顔を合わせる回数も減り…。

わたしも1人の時間が好きだからこれくらいがちょうどよかったし、仕事で疲れているのかな?そんな日もあるよね、って気にもしてなかったけどなんか嫌な予感がする。

こんな日が続き、ついにアレが起きた。

それはわたしがキッチンで夕食を作っていたときのこと。

パメラはキッチン横のデスクでパソコンを開き映画を観ていた。

お互い会話するでもなく、目を合わせるわけでもなく。

まぁ、いつものことだからいいんだけどさ、なんて思っていると突然バチン!と勢いよくノートパソコンを閉じ、すごい形相をしたパメラがわたしの方へ向かってきた。

「だからうるさいって言ってんだろ!!こっちは映画観てんだよ!!!」

すごい剣幕で怒鳴るパメラ。

何が起こったのかすぐに理解できなかったけど、とにかく「ごめん」とだけ言い、料理をやめた。

それからわたしがリビングにいるとパメラは自室から出てこず、わたしが部屋に入った途端パメラが外へ出るといった明らかわたしを避ける行動を見せはじめた。

そんなある日ついに見てしまったんだ。

彼女の秘密を。

パメラはいつも部屋のドアを閉めきっていたから、わたしは彼女の部屋の中を見たことがない。

別に他人の部屋に興味はないから気にも留めてなかったけど…。

あるときパメラ部屋のドアが半分ほどあいていることがあって、無意識にそちらへ目を向けてみると…。

次の瞬間、背筋に冷たいものがスーッと流れるのを感じた。

部屋の大部分を占領した大きなベッドの上にはグチャグチャに投げ捨てられたような洋服の山。

カーペット床の上には食べたものがあちらこちらに転がりゴミが散乱していた。

も、もしやこれが汚部屋っていうやつなんじゃ?…(汗)

あんなに散らかり倒した部屋を見たのは初めてで、ぞわっと鳥肌が立った。

リビングにパメラがいたからサラッとしか見れなかったけど、それでもあの酷さくらいはわかる。

でもリビング、キッチンは片づいているんだよな…。

これって表面はいいけど、実は極度のずぼら人間なんじゃ。

いや、待てよ。

この前のいきなり激怒する感じからすると、もしやメンヘラ系?

パメラはわたしの何かが気にくわなくてあんな態度をとっていたのかもしれない。

異文化で育ったもの同士が1つ屋根の下で暮らすのだから、うまくいかないことだってあるだろう。

アメリカでうまくルームシェアを続けるコツは、いかにルームメイトとコミュニケーションをとるか?に尽きる。

あのときのわたしはろくに英会話ができる状態ではなかったから話すことはしなかったけど、「最近どうしたの?」って声をかけておけば何かが変わったのかもしれない。

さておき…これ以上住んだら厄介なことになりそうだからもう家を出よう。

というか、わたしサンタモニカの学校も辞めるんだよね。

前回の渡米編はこちら。

続きものなのではじめを見逃した方は第1話からどうぞ。

目次

ロサンゼルス語学学校での屈辱

どうしよう…。先生の言ってることが全くわからない。

サンタモニカの語学学校ELSの登校初日。

まずはじめに行ったのはレベル分けテスト。

ビギナークラスのレベル1から大学レベルの12まであるELS

わたしが入ったのはレベル3

でもこのときレベル1は開講してなくて、レベルが2が一番下のクラス。

ABCから習うのがレベル2、レベル3ってのはアルファベットくらいは知ってますけど程度が集まる立派なビギナークラスだった。

もちろんビギナークラスであろうが授業は英語ONLY、先生は日本語を話せない。

リスニング力ゼロのわたしがオール英語の授業についていけるはずもなく…。

1か月くらい経っても先生の英語が半分も聞き取れず、電子辞書を使いホワイトボードに書かれた英文法や単語を日本語に訳しまくる、これがわたしの授業中にしてたこと。

わたしが和訳で四苦八苦しようが、おかまいなしに授業はどんどん進んでいく。

問題を解くよう言われても、例文の単語の意味を調べるとことからはじまるからみんなより時間がかかる。

先生に当てられても赤面するだけで答えられない…。

そんな毎日の繰り返し。

一方、他の生徒は先生の言うことを理解し、先生のジョークにも笑っている。

おいおい、レベル3ってのはわたしみたいにリスニングもろくにできない生徒が集まる場所じゃないのかよ!

マジで焦った。

この空間に馴染めていないのはわたしだけじゃないか…。

授業中、習った文法を使って2人や3人1組になって自分たちで例文をつくってみようというグループワークがあった。

これがホント苦痛で仕方なく。

わたし1人でワタワタするくらいなら誰にも迷惑をかけないからいい。

でもグループとなると、文法が理解できていない、単語もろくに知らない、みんなの言っていることさえもわからず会話にならないわたしがいるとただのお荷物でしかない。

だからわたしとグループになるとわかればクラスメイトから露骨に嫌な顔をされたし、ため息をつかれたこともある。

わたしがいない存在かのように他の子だけで例文をどんどん作っていかれることも多々。

こんなのでごめん…という申し訳ない気持ちはあったけど、それ以上に英語ができない自分への苛立ち、焦り、10代や20代前半のクラスメイトから馬鹿にされたことが悔しくてたまらなかった。

くそっ!見てろよ!!

こんな扱いを受けないように家でいっぱい勉強してやる!

そう思っていたけど現実はそうもいかず…。

ロサンゼルス留学、放課後の誘惑

英語を話せるようになる近道は英語環境に身を置き、どれだけインプットとアウトプットができるか、これにかかっているという人が多い。

確かにわたしもそう思う。

でもわかったんだよね。

これは高校生レベルの英文法を理解し、そこそこ単語を知っている人の話だって。

わたしのように文法レベルは中学生以下、ボキャブラリーの少ない人間が同じことをやってもリスニング、スピーキング力なんて伸びない。

まずは最低限の文法を理解し、単語を覚えるところから始めないと。

というのも、相手の言っていること全文が聞き取れなくても、ある程度自分の知っている文法や単語をキャッチするだけで何となく意味はわかるし、日常会話くらいであれば成立することが多いのだ。

これはわたしの実体験。

聞き流すだけでリスニング力アップ!なんてのは英語ビギナーがやることではない。

なんてこと知るわけもなく、当時のわたしはとにかく英語耳をつくろうと英語環境に身を置く努力をした。

SemaとLuna

ELSでできたはじめての友達。

3人とも同じ日に入学した者同士。

レベル分けテストでLunaはわたしの前の席に座っていたこともあり、そこから一緒に行動をするようになった。

LunaはSemaとも話したことがあったみたいで、ランチや放課後はこの3人でいるのがいつもの流れ。

20代前半トルコ人のSema、18歳ブラジル人のLuna。

オレンジ色のカールがかった髪、ナイスバディでセクシーなSema

真っ白な透き通る肌に青い瞳、あどけなさが残るかわいいLuna

たしかSemaはレベル10、Lunaはレベル9と、2人とも英語上級者だから、日常会話は余裕の域。

授業中、ランチ、放課後と1日中英語漬けの毎日を送ったけど、いつまで経ってもSema、Lunaの会話すらもついていけない。

「それどういう意味?」何度も聞いて電子辞書を使い訳す、話についていけないときは相槌を打つだけ、そして金魚のフンのように彼女たちの行く場所についていく毎日。

そんなある日、忘れもしない出来事がおきた。

マクダノ、まくだの(笑)

SemaとLunaがわたしに向かって笑いながら”マクダノ”を連発してくる。

まくだのって一体なんなんだよ…何かの呪文か?

首を横にかしげ口をポカンと開けていると、Semaがあるマークを指さして言う「マクダァーノォ!!」

わたしもよく知ってる”M”のサインがそこに。

「あっ!マクドナルドのことか!!!」

英語ではマクドナルドなんて言わない。

そんなこともさえも知らない赤ちゃんレベルのわたしに自分でもびっくりだわ(笑)

「え?日本語違いすぎるんだけど~」

なんてSemaとLunaに大笑いされた。

さておき、彼女たちと行動を共にすることで毎日、毎日英語を聞きまくったけどリスニング力なんて上がりゃしない。

ちくわのように右から左へ音が聞き流されるだけ。

いっこうに上がらない英語力に焦りを感じつつも、放課後はビーチや買い物、そしてクラスメイト宅で夜な夜な繰り返されるパーティー三昧の日々。

あの子が好きだの、お泊まりするだの低レベルのノリに嫌気がさしはじめる。

10代の頃ならそれで楽しかったかもしれない。

でも今となればどうだってよかったし、30歳のわたしが10代や20代前半の子たちについていこうと、頑張る自分の姿を一歩ひいて見てみると滑稽すぎた。

わたしは一体ここで何やってんだか…。

社会人から留学生になり念願の海外生活。

心機一転ロサンゼルスにやってきたのにわたしがやりたかったことは遊学じゃないよな。

ロサンゼルスで生活をしていたらそのうち英語もわかるようになるはず、なんて安っぽい考えをしてたけど、そんな魔法みたいなことあるわけない。

いるだけで英語が話せるようになるなら誰も苦労せんわ!

環境がわたしを変えてくれるんじゃない。

変わらないといけないのはわたし自身なんだ。

今やるべきことは日常会話についていけるだけの文法を理解し単語を覚えることだろ。

そう気づいたらこれまでしてきたことが一気に馬鹿らしくなった。

そして周りに遊べるところがない辺鄙な場所にある学校へ転校を決意する。

こうして渡米3か月で、あれだけ好きだったサンタモニカに別れを告げた。

次こそは失敗しない。

わたしは勉強だけに集中するんだ。

おまけ

はじめてアレを見たときは稲妻に打たれたかのように強い衝撃を受けた。

AVの撮影現場ってこんな感じで進むんだ…。

ビルの中にある撮影スタジオから一軒家丸ごと借りられるところまで、都内には様々なタイプのスタジオがあった。

確か初撮影はSOD内にある自社スタジオだったはず。

ビデオやスチールカメラマン、音声、ADがぐるりと囲む中心にいるのがモデルと男優。

少し離れたところでモニターを見ている監督と助監督。

作品内容にもよるけどけっこうな人が関わっていることに驚いた。

AVってもっと適当な感じでつくられているのかと思ったけど、しっかりしてるんだな(汗)

はじめのうちは美女と男優さんが繰り広げるシンプルな内容の撮影が多かったけど、次第にアブノーマルなプレイ現場もいくようになり、痛々しいやつから”汚”までAVにあるジャンル全てを経験。

初現場では目の前で行われている行為にドキドキしモニターをかぶりつくように見てたのに、しまいにはどんなプレイを見ても何も感じなくなり、撮影中でも平気でお弁当を食べられるくらいになった。

慣れとは実に恐ろしい。

マネージャーをするようになってわかったことだけどSODの現場は基本的に長い。

てっぺん越え(24時をまわる)の現場なんてしょっちゅう。

早ければ夕方には撮影が終わるところだってあるのに。

朝7、8時にスタジオに入りメイク部屋の準備、1時間後くらいにモデルが来てメイク開始。

ADのお手伝いもしていたわたしはメイク準備ができたら”つなぎ”と呼ばれるモデルさん用の朝ごはんやおやつの買い出しに行くことも。

午前中にパッケージ撮影、午後から本編撮りをして遅いと夜中1、2時くらいに撮影終了となる。

そこから片づけ、翌日現場があればその準備、また衣装も担当していたから、ADさんと衣装打ち合わせなんぞしてたら朝方になってしまう。

一度家に帰ってシャワーを浴び仮眠してからまた現場へ向かう日々。

翌日撮影がなければ前日の撮影でつかった衣装の洗濯、次の撮影の衣装打ち合わせやそのピックなどで1日が終了。

自分のメイクをする時間があれば1秒でも寝ていたい。

洋服は動きやすさ重視で汚れてもいいものしか着なくなっていたからTシャツにデニムばかり。

髪を巻いたり、おしゃれをすることもなくなった。

こんな生活を続けること1年近く。

わたしはこの激務の先に何を目指して毎日を過ごしているんだ?

忙しいのはかまわない、でもコレという目標がなくただ働くことに意味はあるのだろうか?

今のわたしから言わせるとそんなことはじめからわかりきってたことなんだから、何をいまさらって感じなんだけど。

AVがどうやってつくられているのか十分すぎるほどよくわかった。

じゃあメイクアップアーティスト、AV監督やプロデューサーになりたいみたいな夢はあるか?

答えはNO

自分の興味が満たされたわたしは次の気になることを見つけ、そのワードをパソコンのキーボードに打ち込む。

探偵事務所 求人

【衝撃編】へとつづく。

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