デーティングサイトで出会った殿方の中で、堂々ワースト1位がジェームスだ。
こういったサイトなんだから、変な人がいるのはもちろん想定済み。
でも実際に会っちゃうとさ、ホント最悪な気分になるし、何より会う日を楽しみにしちゃってた自分に自己嫌悪(汗)
今回は思い出したくもないくらいムカつき、危険な目にあったジェームスとの出来事にお付き合いくださいな。
いただき男子と過ごした最悪な夜
僕は映画監督アシスタント兼DJをしています。
届いたテキストを見て、思わず頬が緩みにんまり。
俳優、カメラマン、映画監督やDJ…自分の知らないキラキラそうな世界をみている人に惹かれがちなわたし。
今じゃ職業がなんだ?ってなもんなんだけど。
でもその当時のわたしはミーハーというか、ただのバカ女だった。
プロフィールにはストリートカジュアル、キャップに少しゆったりとした服装のジェームスの写真。
引き写真だからよく見えないけど、あご髭短髪、 スケーターぽく、ちょいワルな雰囲気。
おっ!なんか良さそうじゃん、ジェームス♡
”いつもどこで遊ぶことが多いですか?”
速攻でテキスト返信と。
”僕はシルバーレイクに住んでいるから、普段その辺で飲みに行くことが多いよ”
キターーーー!おしゃれエリアSilver Lake!しかもわたしが開拓したいところじゃん!
お酒も飲むみたいだし、穴場のバーとか知ってるんじゃないの~??
これはヒットな予感ですぞ。
まだ見ぬジェームス像がどんどん美化されてゆく(笑)
シルバーレイクといえば、おしゃれなカフェ、レストランや雑貨屋さんが立ち並び、クリエイターやアーティストが集まるトレンド発信地。
住めるものならわたしもいつかは住んでみたい憧れの町だ。
そんなところに住むジェームスは、どんな人なんだろう。
会ってみたい!いや、これは会うべき!!
すっかり浮かれポンチキなわたしは、トントン拍子に会う話を進めていった。
ジェームスとの初対面はもちろん彼のホーム、Silver Lakeで。
どうやらジェームスいきつけのBARがあるらしく、そこで待ち合わせることに。
そして迎えた初デート。
この日は運悪く仕事が立て込み残業に。
何とか終わらせ車を飛ばすも、ロサンゼルス名物の大渋滞に巻き込まれる。
その間にジェームスにテキスト。
”ごめん!今急いでそっち向かってるけど、渋滞にはまってさ…まだ時間かかると思う”
”No problem”
そっけない返信に焦る。
もう!初対面でこんなに遅刻するとかマジでありえん!最悪じゃん、わたし!
どうすることもできない状況にイライラが募る。
結局そのバーに到着したのは、待ち合わせから1時間後だった。
カーナビが示した場所は、ただの小さな木造1軒屋。
ひとまずストリートに駐車をして、恐る恐るその家の赤いドアをあけてみると…
天井からつるされた赤、黄色、緑など色とりどりのチープな電飾ライトのみで照らされた、ぼんやり薄暗い室内が目に入った。
一瞬間違えたか?と思ったけど、耳をついた激しめロックミュージックのおかげで、ここがバーだってことを認識。
目の前にあるのは、8人くらいで満席になりそうなコの字型でウッディな小さいバーカウンター。
その中央には、ロン毛のパーマ、ヒッピー風の若い男性バーテンダーの姿が。
しばしあたりを見渡すと、カウンター右側にキャップを被った20代後半であろう男性が、隣の客と楽しそうに会話をしているのが見えた。
あ!きっとあのキャップがジェームスだ。
「遅れてごめんなさいっっっ!」
顔をくしゃくしゃにして、頭をペコペコ、謝るわたし。
「全然大丈夫だよ。ここに来たら絶対知り合いがいるからね」
「それより、はじめまして俺はジェームス、よろしくね」
ジェームスの隣に座っていた男性が1つとなりにずれてくれて、ジェームスとその男性の間にわたしが座る格好に。
「はじめまして、Reikoです。今日は遅れてごめんなさい」
「大丈夫だって。で、何飲む?」
「じゃあ、ラムコークください」
わたしの経験上、アメリカのバーで知らないカクテルを頼むと恐ろしくアルコールの強いものが出てくるから、バーでは無難なラムコークかジントニックにするのがおきまり。
景気づけにラムコークをグビっと口に流した。
「で、Reikoは何の仕事をしてるんだっけ?」
「あ、わたしは留学エージェントをしてるんだ。留学生のお世話みたいな、要はなんでも屋さんよ」
「へぇ~忙しそうな仕事だね」
「ジェームスは映画関係のお仕事だっけ?」
「まあね、そんな感じかな。それよりさ、あのゲームやらない?」
そういって奥にあるテーブル・フットボールを指さすジェームス。
「あ…あ、うん。ゲームやろっか(汗)」
初対面なのに大した会話もなく、いきなりゲームか…。
これがアメリカの若者ノリなのかしら!?
テンポの良さに若干あたふたしながら、ジェームスの後についてテーブル・フットボール台へと向かった。
「ゲームで負けた人がお酒をおごるってのはどう?」
慣れた感じでルールの説明を簡単に済ませる彼。
たいして理解しないうちにゲームスタート。
テーブル・フットボールなんてやったことないわたしは、ボールに当たるどころか、ハンドルを動かすのに精いっぱい。
勢いあるボールについていけず左右をちょこまかするだけ。
一方ジェームスは慣れた手つきで、ばしばしゴールを攻めてくる。
「Yeah!俺の勝ちだね~。ビールくださーい♡」
あっさりとゲームの敗者になったわたしは、バーカウンターに行きビールをオーダー。
「おお、ありがとう~♡」
そういってビールを一気飲み。
「ぷはぁ~よし!もう1ゲームしようぜ」
「お、おっけー(汗)」
ゲームもいいけど、まずは会話したいんだけどな…。
なんて言えるわけもなくRound 2、そしてあっさりまた負け。
「Reiko弱いね~(笑)じゃあ、次は俺もラムコークもらおうかな」
ヘコヘコとまたもらバーカウンターへ。
なんか焼きそばパンを買ってこい、と言われてるパシリ君みたいじゃん…。
ご馳走することが嫌なんじゃない。
ただ初対面でこんなに気を遣わない人は初めてだわ。
こういうのがアメリカの若者の間では普通なんだろうか…。
なんて違和感を感じていると、ジェームスが一言。
「Reikoってさ、テキストは完璧だったからわからなかったけど、実際話すと英語下手だね」
…絶句。
「えぇ、て、テキストそんなに上手く打ててたんだ(汗)あ、ありがとう」
「でもわたしのスピーキングは完璧じゃないし、むしろヤバいよね。あはは…」
笑えないし、口が片方ひきつるばかり。
なんだこの人…。
フランクなのか、ただの失礼な奴なのかナゾ。
とにかく波長が合わない…気がする。
ジェームスワールドにどう合わせていけばいいのか困っていると
「よし!次いこ!連れていきたいところがあるんだよね」
わたしの返事も待たずに、ジェームスはそそくさとドアの方へ向かってしまった。
そして慌てて追いかけるわたし。
完璧ジェームスのペース。
2軒目に行かずここで帰っていればあんな最悪な思いをしなくて済んだのに。
あんなことが起こることなんて、このときは知る由もなかった…。
次回へつづく。
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