殿様はおひめさま

まいった、非常にまいった…。

殿様の生誕日に風邪をこじらせたわたし。

過ぎたから何とでもいえるけど

旅行へお連れしようか

気になるレストランへ行こうか

わたしなりに考えてはいた。

「来週末どこか遠出しようか」

殿様が口をひらく。

およ、来週末は君の誕生日でないかい。

遠出ね。

うん、いいんじゃなかろうか。

「いいよ。どこか行きたいところはある?」

殿「うーん、まだわかんない」

これが誕生日前週の話。

そして誕生日週の水曜日。

「週末どこかいく?」

殿「まだわかんない」

泊まりでいくならホテル予約したいんだけど…。

殿様は前もって予定を立てるのを嫌う。

一方わたしは早めにおさえちゃいたいタイプ。

だから私たちの旅行はいつも当日ノリで行くことが多いのだ。

でも待ちたまえ。

今週は君のイベントなのだぞ。

わたしは予定を立てたいのだ。

結局なにも決まらぬまま迎えた誕生日当日。

殿「ちょっと北へ行こうか」

でたー。

曖昧発言。

泊まる準備もせず、とりあえず車を走らせる。

北へと。

途中体のダルさ、頭痛を感じるわたし。

なんだろ…ちと調子わるいな。

そんな中とりあえず北上するも

殿「なんか疲れたね。今日はもう引き返そうか」

めずらしく殿も不調。

結局、おうちで殿様の好物をつくり

ほぼいつも通りのディナーとなる。

迎えた翌日。

わたしの体調は引きつづきイマイチ。

しかし、何かせねば。

「今日いきたいところ、したいことある?」

無視。

明らかに不機嫌なのだ。

なぜだ?

何故に??

わたしなんかしたか???

頭を駆け巡らせるもわからん。

「ねぇ、なんでそんなブスっとしてるの?」

ムシ。

かちん!

「ねぇ!なんなのよ、その態度!!」

こちらを睨み殿

「何回も同じこと聞くなよ!!わからんってゆってるだろうが!!!」

「お前はいつもそう」

「自分で考えないで楽ばかりしようとする」

「いい加減にしろよ」

…は?

いや、いや。

「あのさ、わたしがここ行かない?このレストランどう?」

「提案しても文句いうのアンタでしょうが」

「だったら、あなたのしたいこと、いきたいところにいくのがスムーズだから聞いてんの!!」

「本当あんたって面倒くさい奴」

吐き捨てるように言ったコトバに殿様逆上。

「なんだと!!もう一回いってみろ!!!!」

あぁ、こうなったら収集つかないのよね。

はぁ。

「わたし体調悪いから今日は寝る!」

「夕飯もつくらないし、勝手にして」

バタンとドアをしめて、ベッドに潜り込んだ。

6時間ほど経っただろうか。

風邪薬が効いたのか爆睡してたようだ。

寝室のドアがひらく。

頭までかぶった布団をそっとめくり殿様

「おいで。お腹すいただろ?いいものあるよ」

「いらない。」

「いいから。今日なにも食べてないじゃん」

手をひっぱられ渋々ベッドから出る。

テーブルの上にあったのは、2人が好きなお店のピザ。

1食目にピザか…。重。

「ほら。食べて」

殿様なりに悪いと思ったのか立て直しをはかってきた。

応えないわけにはいかんよな。

殿様が食べ終えた、冷たい残りのピザ2切れをみて笑いそうになる。

一緒に食べようはなかったんだ(笑)

そこまで期待はしない。

不器用な彼なりに寄りそうべく頑張っているのだから。

しかしGraのマッシュルームピザは冷めてもうまいな。

さすがミシュランだぜ。

「ごちそうさま。美味しかったよ」

殿「今日はゆっくりやすんで」

背中を押し寝室へと誘導される。

はぁ…あした何しよう。

翌日。

「Apple Storeいこ」

1日寝て体調が復活したわたしは殿様を誘う。

「AirPodsの新作買おうかな」

以前殿様がチラッと口にしたのよね。

「わたし新しいiphoneほしい」

「あ、いいよ。したら今から見にいこうか」

結局3軒まわったけど完売で。

ま、よい。

目的はほかにあるのだ。

「ねぇ、ほしいAirPodsどれ?」

殿「これこれ。ちょっと試していいかな?」

Podsを耳にやる。

「おお。ノイズキャンセリングしてるし音も悪くないぞ」

明らかワクワクの殿。

子供みたいだ。

「そしたらこれください」

殿「?」

「誕生日ギフトってことで」

殿「あら♡」

ルンルンしてかわいいやつめ。

「ねぇ、美味しいタパスつまんでワインちょろっとやりたくない?」

「わたし気になるタパスがSilverlakeにあるんだ」

写真をみせる。

「だったら俺はあそこか、あそこかな~」

ほらね。

やっぱ聞かないじゃん。

でもそんなことは言わない。

だってここで食べたいものある?なんて聞いた日にはまた激怒確定だもんね。

「おっけ。そしたら久々にそこいこうよ」

要予約のお店だけど、運よく1時間半なら席用意できるってことで入らせてもらう。

美味しい料理を堪能。

殿「チェックお願いします」

パンツのポケットをごそごそ。

その手にそっと触れ

「いいんだよ。過ぎたけど、お誕生日ってことで」

殿「えーわるいよー。いいよー」

「大丈夫。大丈夫だから」

ちょこっとこんなやりとりをして店をでた。

どうせわたしのプランは通らないんだから

はじめからやりたいことをさせたかった彼の誕生日。

一方でサプライズをしてほしい殿様(=姫)

(はっきりと言われてないけど、そういうことなはず)

結婚してわりと経つけど、いまだ噛み合わない私達。

この先もBig Baby、殿様には手を焼き続けるのだろう。

ちなみに自分の誕生日には、欲しいものをきっちり伝えるタイプ。

それが無駄なくお互いHappyだと思うから。

サプライズしがいのない女ですわよ。

私ってやつは。

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