い、痛い。いたい、痛い!!
いぃぃぃぃぃぃったーーーい!!!!
シーンと静寂した無機質な空間に響き渡る叫び声。
わたしはオペを受けている最中、耐えがたい猛烈な痛みと闘っている。
自然とこぼれ落ちる大粒の涙を一生懸命拭ってくれるナース。
「痛いね、痛いね。もうちょっとだよ」
声をかけ続けるドクター。
この程度の手術なら局所麻酔で問題ないし、全身麻酔だと傷の治りが遅くなりますよ。
カウセリング時、執刀医にいわれた言葉を鵜呑みにするんじゃなかった…。
麻酔するから大丈夫だと!?
激痛じゃないか!!
チクショー!!!
全身麻酔をお願いしなかった後悔の念と、いつ開放されるかもわからない壮絶な痛みに耐え続けている。
この痛みを説明するのは非常に難しい。
なぜならこれまで体験したことのない感覚だから。
確かに麻酔はきいている。
胸横をメスで切られた痛みはないし。
だけども切開した脇の下から器具を入れ、体内でそれをかき回すたびに体を激しく揺さぶられる。
これがもすごく痛いのだ。
胴体をグイングインと動かし手荒に扱うのが正しいオペ法??
ズドーーーンと体中に広がる、鈍痛の最上級バージョン。
やっぱりうまく説明できないけど、ドリルでコンクリ道路を掘る工事現場を想像してほしい。
体が地面で、ドリルで体内をドドドドと掘られているような感じ。
とにかく壮絶な痛みなのは確か。
そもそもナゼ、わたしがこのオペを受けているのか。
それは乳がんを摘出後、胸中に血栓ができたから。
血の塊をとるための手術なのだ。
すなわち同じ箇所を2回切っているわけ。
アクションを起こしたところで止めてくれるわけでもなく。
最後は絶望の中ただ繰り返される痛みに耐え”ヴヴヴぅ…”と声にならない野生音を絞り出す。
どれほどの時間が経っただろうか…。
手術が終わったころには、叫び泣き続け疲労困憊。
もうグッタリ。
普段は優しく話かけてくれるナイスミドルなイケおじ医師も、この日ばかりは般若にみえた。
経過観察の診療時に聞いてみる。
先生、わたしが受けた血栓を取り除く手術ってよくありますか?
頻繁ってわけじゃないけど、たまに起こるね。
そしたら皆さん同様に全身じゃなく局所麻酔されるんです??
そだね、その方が治りも早いし、体への負担も軽減、何よりサクッとオペできるしさ。
全身麻酔だと他の医師とのスケジュール合わせも必要になり、すぐに対応できないんだよ。
…手続きが面倒だったから…ってことじゃないよね?
核心にせまってみる。
そしたら先生、他の方もその麻酔で痛いって言わないんですか??
フフフ、みんな痛いって叫んでるかな。
絶句。
痛いならはじめからそう教えてくれたっていいじゃん。
わたしゃ局所麻酔とはいえ、無痛だと思い込んでたしね。
おかげで地獄をみたさ。
先生、あんたサイコかよ…(汗)