それは昨日の朝に起こった。
日用品の買い出しのため、着替えをし準備していた最中でのこと。
目の前に脱ぎ捨てられた、殿様愛用のハーフパンツに目をやるわたし。
そしたら太ももあたりに赤ワインのシミを発見。
このハーフパンツ、以前日本に帰国した際、お母さんがパジャマにとユニクロで買ってくれた”リラコ”というやつ。
サラッとした肌触りで履き心地がいい。
ウエストのゴムが緩まったのか殿様もいけるサイズになり、兼用でパジャマにしている代物。
素材感がいいし、何よりお母さんが買ってくれたものだから、家着とはいえ、わりと大切に履いていたんだよね。
そんなときに見つけたワインのシミよ。
赤ワインってまず落ちないよね。
何度も言うが、これはパジャマ。
シミになったことは残念だけど、仕方ないか…で許せるレベル。
嫌だけど(笑)
そこで、ふとある思いが頭をよぎる。
もしわたしが怒ったら殿様は謝ってくれるだろうか…?
「ねぇ、このリラコに赤ワインついてるんだけど」
どうしてくれるのさ?ぽく少しイラついた感じで殿様にぶつけてみた。
そしたら面倒くさそうに、しかめっ面をした彼がボソリ。
「そんなのどうでもいいから、早く出かける準備しろよ」
ど、どうでもいいだと!?なんだその態度は!!
若干予想外の回答に戦闘モードスイッチON
「どうでもいいって何よ!?これわたしのリラコでしょーが。このシミどうすんのよ!」
殿様も乗っかってくる。
「朝っぱらから文句言ってんじゃねー!気分悪いわ」
はい、険悪ムード。
スーパーまでの道中、車内ではお互い無言。
なんか引くに引けない感じになってきたな…。
買い出しから戻るや殿様は「オフィス行く」蚊の鳴くような声を残し、家を出て行った。
夜7時30分。
殿様帰宅。
Hi、もなく一目散へシャワーへ。
はい、はい、まだ怒ってるぞアピールですか。
くだらん。
重たい空気を破ろうとしたのは殿様。
「俺がいない間ナニしてたの?」
殿様を方を見ることなく
「Youtube観て、昼寝」
そのあともぶっきらぼうに色々聞いてきたけど、全部回答のみで返事。
「ねぇ、どうして俺の方を見て話さないの?(怒)」
チラッと、彼の方へ目線を送りまた戻す。
自分でもこんな人ウザいだろうなって思うけど、そもそもなんでわたしの機嫌が悪いのか気づいてほしくて。
結局ベッドの中でもこの茶番劇は続き…ついにわたしが口を開く。
「ねぇ、なんでわたしが今日ずっと怒ってたかわかる?」
「わかんねーよ、そんなもん。なんで?」
「殿様が謝らないからだよ」
「何に?俺なにもしてないもん」
「やったじゃん。わたしが大切にしてるリラコにワインこぼしたよね」
「え、そんだけ?あれはもう俺のモノだからいいんだよ」
「は!?いつからあんたのものになったのさ!」
「リラコはお母さんがわたしに買ってくれたもので、あんたが勝手に履いとるだけでしょーが」
「ううん、違う。もうアレは俺さまのモノなの」
「だから謝らない!なんなら俺もお前の態度に怒ってるんだからな」
…子供か!みたいなやりとりを続けた私達。
お互い謝ることもなく、寝落ちしましたとさ。
まぁ、朝ケロっとした感じで出社したけどね。
きっと何事もなかったかのように帰ってくるでしょう。
ということで、アメリカ人夫は最後まで謝りませんでした。
今回に限らずだけど、謝るどころか逆にこっちが悪いかのような言い方をし、論点を変えてくる手法…よくやるのよね。
これは彼だけなのか、アメリカ人にありがちなのかはナゾ。
ただ本心でなくても、その場をおさめるためにサクッと謝る日本人のようなことは決してしない。
それが殿様という人間である。